―神輿を担ぐということ―
神輿を担ぐということ。
それは、「神様をお運びする」ということ。
荒々しく迫力のある神輿渡御ですが、祇園祭の真髄である神聖なお役目なのです。
祇園祭の3基の神輿は、それぞれ異なる組織によって担がれます。
西御座の神輿を担ぐ、
錦神輿会の藤井輝男さんはおっしゃいます。
「1000年続く伝統と厳粛な神事の精神を、しっかりと守って伝えて行きたい。」

藤井さんは錦小路で200年続く
「
津之喜酒舗」のご店主です。
昨年、一昨年と錦神輿会の会長を務められていました。
「西御座の神輿は日本一。」
神輿を語る藤井さんには、誇りと、並々ならぬ思い入れが感じられます。
「準備から手入れまで、会が誇りを持って丁寧に保存して大切に扱っている。
神輿を大切にする想い。体制。準備。状態。これは日本一やと思ってます。」
もう5月の連休が明ければ、会長と役員の方々は頻繁に打ち合わせ。
備品の点検、スケジュールの確認、渡御の道順や見せ場の決定・・・
7月も近づくともう毎週、時に週に2回も打ち合わせを行います。
また、神輿の余丁(担ぎ手)たちの指揮も重要な仕事です。
赤法被を着る40人程の役員が、青法被を着た600人近くの余丁たちを統率するのです。
現在は会員の紹介であれば(そしてもちろん男性であれば)誰でも参加できるため、祇園祭の真髄や精神を皆に理解してもらわなければいけません。
それを伝えてゆくのも赤法被。
こうして目の回るような準備期間を経て、役員および会長の怒涛の7月が始まるのです。
―神聖なる男の世界―
西御座の神輿を担ぐ錦神輿会の会長は、赤法被にタスキの出で立ち。
昨年、一昨年とタスキを着けた藤井さん。その時はどんなお気持ちだったのでしょう。
「祇園祭の主役は俺達だ。タスキを着けた瞬間、”俺がこの神輿を動かすんだ!!!”という責任感と高揚感でいっぱいになった」
担ぎ手600人を統率するこのタスキは、絶対です。
皆が黙って言う事を聞く、男の世界。
渡御の直前、八坂神社前で、タスキの会長は自分の担ぎ手たちに決意表明をします。
「歴代の会長は”お前ら!”と呼びかけていたけれど、自分はそんな呼び方せんと”皆さん”と言おうと思ってた。でも600人の前に立ったら、頭に血が昇って。
叫んどってん。”お前ら〜〜〜!!!”って(笑)。もう何を言ったか覚えてへん」
沸きに沸いて応える男達の先頭に立ち、副会長と二人、扇子で神輿を先導します。
「扇子の一振りで600人が動く。それはもう、鳥肌が立つ」
2人対600人。夕闇に激しく燃え上がる1200の目を4つの目で受け止める。
精神が緊張して疲労する一方で、男としてこれ以上ない快感を覚えるとのこと。お話されながらも藤井さんは腕をさすっておられました。
2006年、今年もこの熱い熱い男達をぜひとも目に焼き付けたいものです。
赤法被を着た役員達は、通常は色々な役目があり神輿を担ぐことができません。
しかし、厳格なしきたりを守る神輿会ですが、実は会長により担ぎ方が変わるそう。
藤井さんが会長の時には、赤法被40人の「ドリームチーム」が神輿を担ぐ区間を新設しました。藤井会長が「俺の色」を入れたのです。
このアレンジは好評で、会長が変わった今年も引き継がれることになりました。
今年は、神様が八坂神社にお戻りになられる24日の還幸祭、21:00頃。ドリームチームの雄姿は
寺町蛸薬師〜錦小路の区間で見ることができます!
―でも神輿を担ぐって、大変なんです―
担ぎ手も観衆も、異様なまでの熱気に包まれる「神輿」。
暑さもさることながら、体力も相当に必要です。

特に猫下(ねこした)は渡御の間、一回も交替することなく中腰のまま!
もう、途中から目の前が真っ白になってくるそうです・・・
余丁たちが手を伸ばして神輿を高く掲げる「差し上げ」は、神様への敬意を表す見せ場ですが、実は猫下でフラフラになっている人に酸素を送り、腰を伸ばしてもらう為でもあるのです。
それでも猫下、黒ながえなど、神輿の中心にいる人たちは例年同じ顔ぶれ。
”この人はココ”と、皆の暗黙の了解で決まっているのです。
この猫下や黒ながえの立ち位置の引継ぎがまたユニークです。
役目や地位などの基準によって選ばれるのかと思いませんか?
実際は、「そろそろ自分の位置を、次に伝えなければ」となった時には、毎年神輿を担ぐため顔は知っていても名前も知らない他の余丁に「オイ、ちょっとこっち来て覚えろや。」と声を掛けて教えるのだそうです。
「こいつは毎年来てるし、頑張ってるな」と見込んでの引継ぎ。
年に一度の顔合わせが育む、師弟愛です。
―17日の神輿渡御ももう目前!―
10日、中御座の神輿が
神輿洗いの神事を行っている一方で、
西御座と東御座の神輿には飾り付けが行われました。
もちろんこれも、神輿会の仕事。
神輿との一年ぶりの対面を果たし、様々な想いを込めて瓔珞(ようらく)や鵜之鳥などの飾りをつけて行きます。
黒かった裸神輿が、豪奢な姿に生まれ変わったら。
・・・もう17日を待つのみです!
飾り付けが終わった西御座の神輿。
この後、八坂神社の舞殿で神輿渡御の日を待ちます
「京都の7月は、神々を迎えるためにある―男達の神輿1」は
コチラ
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